世界の工場として発展してきた中国の製造業。日本メーカーも現地法人を作って世界に供給する製造拠点として中国を活用してきました。ですから中国製の質が低いというイメージはすでに過去のものとなっています。ではこれからも国内メーカーが中国で生産し、世界に供給する構造が続くのでしょうか?
今回はいま複合機やプリンターの分野に絞って中国に関連して起こっている変化について取り上げます。
目次
- 既に乗っ取られた?あらゆるものが中国製
- 中国自体が大きな市場として世界に影響を与える時代になる
- まとめ
1.既に乗っ取られた?あらゆるものが中国製
リサイクルトナー業界で最近話題になったことがあります。それは、日本メーカーのとあるレーザープリンターが中国メーカーのOEMではないか?ということ。かつてリサイクルトナーメーカー向けに部品を販売する世界的商社としてスターティックコントロールという会社がアメリカにありました。この会社、すでに中国の会社に買収されています。また、レックスマークというアメリカのプリンターメーカーも同じ中国企業に買収されています。これは、中国企業がリサイクルトナーを作る技術や部品の入手網と販売網を手に入れたということ、そしてメーカーがプリンターを作るうえで神経をとがらせている特許を買収を通じて手に入れたということです。リサイクルトナーについてはカートリッジに付属するチップについてはほぼ中国製に切り替わっており、中国メーカーが開発してくれなければ日本でリサイクルトナーの製造ができない状況になっています。
2.中国自体が大きな市場として世界に影響を与える時代になる
中国の目覚ましい発展は中国自体の大きな市場で消費が活発になっていくことで今後は支えられてゆくものと思われます。既に複合機やプリンターの設計を中国国内で行うことを義務付ける方向で中国政府は動いていると2022年7月3日の読売新聞記事は伝えています。その記事では(以下引用)
中国政府が、日本を含めた外国オフィス機器メーカーに対し、複合機などの設計や製造の全工程を中国内で行うよう定める新たな規制を導入する方針であることがわかった。条件を満たさない機器は政府や各省、公的企業の入札から排除されるとみられる。現地での設計・開発を余儀なくされれば基幹技術が中国側に流出しかねず、日米の企業・政府レベルでは「事実上の技術強制移転だ」と強い懸念が出ている。
いかがですか?日本のお家芸が取られてしまう事態に直面しているのです。これは中国自体がプリンターや複合機の成長市場になり、その市場での展開をもとに世界に供給してゆこうとしてると私達は考えています。
3.まとめ
いかがでしたか?もはや中国を無視してはやっていけない時代になっています。リサイクルトナーの製造部品も中国製品がキーパーツになっています。このまま日本の人口が減少し、市場としても魅力がなくなってゆくと、日本のメーカーも中国メーカーからOEMでプリンターや複合機を調達する時代になるかもしれません。ではそれは我々消費者にとって良い事なのか?
次回はその点についてコラムとしてお届けします。