2021.09.14 コラム

今回はカラープリンタ―のお話です。カラープリンタ―を使っている会社が少ないのですが、消耗品であるトナーの販売数量は、モノクロプリンタ―のトナー販売数と変わらないどころか少し多いくらい流通しています。今回はそのカラープリンタ―用のリサイクルトナーについて取り上げます。

目次

  1. リサイクルカラートナーの市場シェア
  2. なぜリサイクル品は普及してこなかったのか?
  3. 現在はどうなのか?
  4. まとめ

1.リサイクルカラートナーの市場シェア

リサイクルトナーの市場シェアは23%と言われています。これは、AJCR(日本カートリッジリサイクル工業会)が毎年会員にアンケートを取り、製造メーカーが申告する生産数の合計から市場シェアを計算して発表しています。このAJCRの調査によると、カラープリンタ―用のリサイクルトナーの市場シェアはおよそ14%。ですから、カラートナーのほとんどは純正トナーの市場なのです。実は、リサイクルトナーの市場シェアはこの10年ほとんど横ばいです。普及を阻むどんな要素があるのでしょうか?

2.なぜリサイクル品は普及してこなかったのか?

①純正メーカーはカラー市場を守りたいから

プリンタ―の出荷台数とカートリッジの出荷本数を比べると良く分かるのですが、カラープリンタ―については、販売台数がモノクロプリンタ―のおよそ10分の1くらいに対して、消耗品であるカートリッジの販売本数は、モノクロプリンタ―のトナーカートリッジの販売本数と同じかそれを少し上回るくらいです。メーカーから見れば、プリンタ―の生産台数が少ないのに消耗品が良く売れるという重要な収益源です。ですから純正メーカーは、自分たちの大切なカラートナー市場をリサイクル品に取られないよう、様々な手を打って自分たちの市場を守ろうとしています。

②カラートナーパウダーを供給するトナーパウダー製造メーカーが少ないから

カラーは4色準備しなければなりません。全体の市場は大きくても、色別でみるとそれぞれの市場はそれほど大きくありません。パウダーを製造するメーカーから見ると参入しても儲からない(生産量を確保できない)ので、カラートナー用パウダーを作ってくれるメーカーがこれまで多くありませんでした。

③純正品が重合トナーに対してリサイクルトナーは粉砕トナーしか供給できず品質が低かった

純正品は多くの場合、重合法と呼ばれる製法でカラートナーパウダーを製造しています。これには特別な設備が必要で、とりわけ排水設備の認可を日本国内で新たに取得することが難しいために、国内で重合法を使ったカラートナーパウダーを製造することが長い間できませんでした。よって、粉砕法と呼ばれる製法でカラートナーパウダーを作るので、色むらが発生したり、寿命が短くなったりするなど、決して品質的に良いとは言えないレベルでリサイクルトナーを販売せざるを得ず、その品質が受け入れられませんでした。

3.現在はどうなのか?

現在は重合法と呼ばれる製法でカラートナーパウダーを国内で製造できるようになってきたため、リサイクルカラートナーの品質が向上しています。モデルによっては純正品より良い品質のトナーパウダーも製造できるレベルになっており、今後はカラーリサイクルトナーの普及が進むでしょう。

4.まとめ

いかがでしたか?カラーリサイクルトナーが普及しない理由をお伝えしました。プリンタ―が比較的高価であることもあり、企業もリサイクルトナーに対する不安から純正品を選びがちです。しかし、近年は技術も向上したため普及が進むでしょう。