2021.08.20 コラム

半導体の不足により、自動車の生産にも影響が出ています。プリンターにも半導体がたくさん使われていますから、一部のメーカーではプリンターの生産にも影響が出ているようです。純正品にも影響が出ているのであれば、リサイクルトナー業界はもっと影響を受けてもおかしくありません。実際のところどうなのでしょうか?今回は半導体不足が及ぼすリサイクルトナーへの影響について取り上げます。

目次

  1. 半導体不足はリサイクルトナーにどのような影響を及ぼしているのか?
  2. 半導体不足が消費者に及ぼす3つの影響
  3. まとめ

1.半導体不足はリサイクルトナーにどのような影響を及ぼしているのか?

リサイクルトナーにも半導体が使われているんですか?と言う質問を受けそうなのですが、リサイクルトナーにもICチップという部品が付いていて、そこに半導体が使われています。ICチップの役割はいくつかあるのですが、プリンターとカートリッジの双方向通信の窓口になっていて、残り寿命の管理や、プリンターに適合しないカートリッジがセットされないよう防止するなどの役割を果たしています。カートリッジ内部のトナーパウダーの残量が、カートリッジ交換のタイミングになると、ICチップにはプリンター側から「使用済み」という情報が書き込まれて再使用できなくなります。また、ICチップの残量情報が「未使用」という情報である場合に、プリンターはその情報を読み取って、新しいカートリッジに交換されたことを把握し、プリンターの液晶画面やパソコンモニター上の「カートリッジコウカン」メッセージを消去したりします。このICチップには①リセットチップと②新品チップという2種類が存在し、②新品チップの供給に半導体不足は影響を及ぼしています。

2.半導体不足が消費者に及ぼす3つの影響

商品価格の値上げ

ICチップの争奪戦が始まっています。リサイクルカートリッジメーカーが現在在庫している商品の価格には影響が出ないでしょう。しかし、リサイクルカートリッジメーカーのICチップ調達には支障が出始めており、ICチップの仕入れ価格が上昇しています。使用済みカートリッジのリサイクル加工時に新品チップへの交換以外に加工手段がないモデルの価格は、今後値上げの話が出てくることでしょう。

「コウカン」表示が出た状態で使い続ける不便さを我慢

商品価格の値上げに応じないお客様むけに、もしかするとICチップを交換しない状態でトナーパウダーだけを充てんしたカートリッジが供給されるかもしれません。実は、一部のモデルで既に理由は異なりますが、ICチップを交換せずに「条件付きリサイクルカートリッジ」というものが販売されています。不便さを我慢しながら価格の安いものを選択するか、値段を上げて便利さを選ぶかという担当者が板挟みになりそうな場面が目に浮かびます。

ICチップのリセット技術が進歩して価格が戻ることも…。

そもそも、新品チップを使う理由は、使用済み状態のICチップをリセットできないからです。リセットとは「初期化」とも言われていて、ICチップに書き込まれた様々な情報、とりわけ寿命に関係する情報を未使用の状態に戻す作業のことを指しています。一部の純正品メーカーのICチップはリセットができません。本当はできるのかもしれませんが、技術的にハードルが高く成功していないのです。今回の半導体不足状況を考慮して、リセットできないと考えていたチップのリセットに取り組む可能性もあります。その場合は一旦上昇した価格がもとに戻るのかもしれません。

3.まとめ

いかがでしたか?半導体不足がリサイクルカートリッジ価格に影響を及ぼすのは時間の問題です。弊社でも値上げの受け入れをお客様にお願いするかもしれません。その時は、半導体不足が及ぼす影響の故であるとご理解頂ければと思います。