2021.10.25 コラム

官公庁を中心に導入が進むNECのレーザープリンタ―。今回は中でもA3サイズモノクロレーザーであるMultiWriter8600、MultiWriter8700、MultiWriter8800シリーズで共通で使われているPR-L8700-12トナーカートリッジについて、その品質の今をお伝えします。

目次

  1. PR-L8700-12の特徴
  2. PR-L8700-12の品質
  3. まとめ

1.PR-L8700-12の特徴

分離型のカートリッジで、トナーカートリッジとドラムカートリッジに分かれています。富士フィルムビジネスイノベーションという会社がOEMでNECに供給しているようです。プリンタ―を分解するとリコーと言うメーカーのセンサーがいっぱい付いているのが分かります。富士フィルムもリコーからOEMを受けているのではないかと業界では噂になりましたが、定かではありません。しかしリコーのプリンターであると考えると、専門家の観点から見て「なるほど~」と思える特徴がいろいろあります。

2.PR-L8700-12の品質

①純正品は非常に粒子径が小さいパウダーが入っている

トナー粒子の大きさはミクロンの単位で表されます。このカートリッジに使われているパウダーは平均の粒子径(粒子の大きさ)が5ミクロンです。これは、リサイクルトナー業界が長い間得意としてきた粉砕法と言う製法で作るトナーパウダーでは出せない大きさであると言われています。たとえこの大きさにすることができても、収率が悪く、材料の投入量に対して出来上がりが少なすぎるのです。つまりパウダー製造メーカーからすると安く作れないうえに、おそらく品質も安定しないということ。ですから、重合法と呼ばれる純正品のパウダーと同じ製法のパウダーが充填されているものが理想です。

②SuperEA-ECOトナー寄りである

OEM元である富士フィルムビジネスイノベーション社は富士ゼロックス時代からいくつかの重合法トナーパウダーを供給してきました。EA-HGと呼ばれる重合法トナーに始まり、現在はSuperEA-ECOトナーと呼ばれる世代になっています。リサイクルトナーにはSuperEA-ECOトナー寄りに開発した重合法トナーと、1世代前のEA-ECOトナー寄りに開発した重合法トナーの両方が流通しているようです。EA-ECOトナー寄りに開発した重合法トナーが充てんされているものを使うと、リサイクル品から純正品に戻したときに印刷の不具合が発生するようです。値段が安いのですが、純正品とリサイクル品を混合して使う場合には、SuperEA-ECOトナー寄りに開発された重合法トナーパウダーが充てんされているリサイクル品を選んだほうが良さそうです。

③寿命のバラつきが大きい

これはどうしてか分かりません。初期型のドラムカートリッジでは、ひどい時には寿命が半分になることもあるとの報告もありました。純正トナーと純正ドラムの組み合わせでも寿命にばらつきがありましたので、リサイクルトナーの開発は非常に難航しました。現在は純正品のドラムカートリッジに改良が施されたようで、寿命のバラつきはかなり抑えられたと言われています。

3.まとめ

いかがでしたか?リサイクルトナーを作るための技術的ハードルを高くするために、純正品メーカーが次々に新しい技術を投入してきます。当然のことながら、新しい技術であれば純正品であっても品質が不安定になる場合もあるでしょう。こうした状況のなか安定した品質のリサイクルトナーをどのように供給できるかが、業界として試されている時に来ていると考えています。リサイクルトナーの販売会社が、お客様と密接にやり取りができる関係にあれば、お客様には安心してリサイクルトナーをお使い頂くことができると思います。と言うわけで信頼できる身近な会社からぜひ購入してください。